迷ったら、一番小さい形で試してみる

迷ったら、一番小さい形で試してみる コラム

何かを始めるかどうかで迷ったとき、僕はまず「一番小さい形」を探すようにしている。

いきなり全部を決めようとすると、判断材料が足りないまま重たい選択をすることになる。

それは時間の使い方として、あまり割に合わない気がする。

迷っている時間にも、コストはかかっている

新しい習慣、新しい道具、新しい場所。

気になってはいるのに、手を出さないまま何週間も過ぎることがある。

その間、頭の片隅ではずっと「やるか、やらないか」を考え続けている。

決めていないだけで、何も払っていないわけではない。

迷い続けることそのものが、少しずつ集中力を削っていく。

僕はこれを、見えないところで払い続けている利用料のようなものだと思っている。

だから、迷いが長引きそうなときほど、早めに小さく決着をつけたほうが楽になる。

小さく試すと、判断材料が手に入る

たとえばジムに通うか迷っているなら、年間契約の前に一回だけの体験に行ってみる。

料理を始めたいなら、道具を一式そろえる前に、手持ちの鍋で一品だけ作ってみる。

本を読む習慣をつけたいなら、まずは一冊ではなく、一章だけ読んでみる。

どれも、失うものはせいぜい数時間と少しのお金だ。

それでいて、「自分に合うかどうか」という一番知りたい情報が手に入る。

頭の中で想像した向き不向きより、一回やってみた感触のほうが、たいていずっと正確だと思う。

想像の中では、面倒な部分も楽しい部分も、どちらも実物より大きく見えやすい。

やめる前提で始めてもいい

小さく試すときに大事なのは、「合わなければやめる」と最初から決めておくことだ。

始める前から続ける覚悟を求めると、その重さで足が止まる。

逆に、やめてもいいと思えれば、始めるハードルはぐっと下がる。

途中でやめることを、失敗だと捉えなくていいと僕は思っている。

試した結果「自分には向いていない」と分かったなら、それは一つの答えが出たということだ。

迷いが一つ減って、その分の時間と気持ちを別のことに回せる。

むしろ、合わないものを惰性で続けるほうが、よほど高くつく気がする。

大きな決断は、小さな結果のあとでいい

小さく試して手応えがあれば、そこで初めて少し大きく踏み込めばいい。

体験に行って楽しかったなら、月単位で契約してみる。

一品作って悪くなかったなら、よく使いそうな道具を一つだけ買い足す。

こうして段階を踏むと、一回ごとの判断が軽くなる。

しかも、どの段階でも「前回の結果」という根拠がある状態で決められる。

根拠のある決断は、あとから振り返っても納得しやすい。

納得できる選択を積み重ねていくことが、結局いちばん後悔の少ないやり方なんじゃないかと思う。

完璧な準備を待たない

迷う理由の多くは、「もう少し調べてから」「準備が整ってから」というものだ。

もちろん、調べることにも意味はある。

ただ、調べることで分かるのは、たいてい他の誰かにとっての正解だ。

自分にとってどうなのかは、触ってみるまで分からない部分が残る。

準備が完璧に整う日は、待っていてもなかなか来ない。

それなら、今の手持ちでできる一番小さな一歩を踏んでしまったほうが早い。

失うものが小さいうちに、得られる情報を取りにいく。

僕にとってはそれが、時間とお金をいちばん無駄にしない選び方になっている。

もし今、何か迷っていることがあるなら、その「一番小さい形」を一つだけ考えてみるのも悪くないと思う。

――一ノ瀬 雅

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