数百円で、三十分を買うという選択

コラム

お金と時間、どちらを大事にするか。

そう聞かれたら、僕は少し迷ってから「時間」と答えると思う。

お金はあとから取り戻せる可能性があるけれど、使った時間は戻ってこない。

単純な話だけど、ここを意識するかどうかで、毎日の選び方はけっこう変わる気がする。

数百円で、三十分を買う

たとえば、少し遠回りして安い店に行くか、近くの店で少し高く買うか。

差額が数百円で、浮く時間が三十分なら、僕は近いほうを選ぶことが多い。

節約が悪いと言いたいわけじゃない。

ただ、その三十分で本を読めたり、ゆっくり眠れたりするなら、そっちのほうが得だと感じるだけだ。

時給に換算してみると、意外と「安く済ませたつもりで損をしている」場面は多いのかもしれない。

全部を買う必要はない

もちろん、何でもお金で解決すればいいという話でもない。

料理が好きな人にとって、自炊の時間は削るべきものじゃなく、楽しみそのものだと思う。

大事なのは、自分にとって「削りたい時間」と「残したい時間」を分けておくことだ。

削りたい時間にはお金を使って、残したい時間はちゃんと自分で味わう。

その線引きができると、お金の使い方に迷いが減る気がする。

小さく試してみる

いきなり生活を変える必要はない。

まずは一週間、「これは面倒だな」と感じた時間をメモしてみるのも悪くないと思う。

その中に、少しのお金で手放せるものがひとつくらいはあるはずだ。

浮いた時間を何に使うかは、そのあとゆっくり考えればいい。

時間を買うというのは、贅沢というより、自分の毎日を少しだけ丁寧に扱うことなのかもしれない。

――一ノ瀬 雅

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