空いた時間は、先に自分の予定にしておく

空いた時間は、先に自分の予定にしておく コラム

空いた時間は、放っておくと誰かに取られる

手帳に何も書いていない日を、僕は「空いている日」とは呼ばないことにしている。

空いているように見えるだけで、実際には誰かの都合が入り込む余地が残っているだけだと思うからだ。

以前の僕は、予定がない日に誘いが来ると、なんとなく受けていた。

断る理由がないという理由だけで、時間を差し出していた。

帰り道に残るのは、楽しかったかどうかより、今日は何も進まなかったという小さな疲れだった。

それを何度か繰り返して、気づいたことがある。

時間は、使い道を決めないままにしておくと、いちばん声の大きい人のものになりやすい。

ひとりの時間を、先に予定へ入れてみる

そこで僕が試したのは、ひとりで過ごす時間を先に手帳へ書き込むことだった。

「読書」でも「散歩」でも「ぼんやりする」でもいい。

中身は何でもよくて、大事なのは、その枠を先に押さえておくことだと思う。

不思議なもので、枠に名前がついていると、誘いが来たときの返事が変わってくる。

「その日は先約があって」と言えるのは、嘘ではないからだ。

相手に気を遣わせる説明も、いらなくなる。

自分との約束も、約束には違いない。

ただ、他人との約束に比べて、自分との約束はいちばん最初に破られやすい。

だからこそ、見える形にしておく価値があるのだと思う。

合理的に考えても、これは悪くない取引だ

僕は何事も、メリットがあるかどうかで考えるほうだ。

その物差しで見ても、ひとりの時間への投資は割がいい。

お金はほとんどかからないし、移動の手間もない。

それなのに、頭の中が整理されて、次の日の判断が少し丁寧になる。

逆に、予定を詰め込んだ週の僕は、ささいな選択で迷いがちになる。

何を食べるか、どれを買うかといった小さなことに、余計な時間を使ってしまう。

余白は、贅沢ではなく、判断の精度を保つための設備のようなものだと感じている。

人付き合いが嫌になったわけではない

誤解のないように書いておくと、人と会うこと自体が嫌になったわけではない。

むしろ逆で、ひとりの時間を確保してから会う人との時間は、前よりずっと味が濃い。

疲れた状態で会うより、余裕のある状態で会うほうが、相手の話もちゃんと入ってくる。

結果的に、会う回数が減っても、関係の質は下がらなかった。

そう感じているのは、僕だけかもしれない。

それでも、試してみる価値はあると思っている。

最初の一歩は、来週の一枠だけでいい

いきなり毎日やろうとすると、たぶん続かない。

まずは来週の中で、いちばん崩れにくそうな夜を一つ選んでみる。

そこに、小さく「自分の時間」と書いておく。

何をするかは、その日の気分で決めればいい。

何もしないという選択も、立派な使い方の一つだと思う。

一度やってみて、帰り道の気分がどう違うかを眺めてみるのも悪くない。

もし合わなければ、やめてしまえばいいだけの話だ。

時間の使い方は、自分で決めていい。

そんなふうに考えると、少し肩の力が抜ける気がする。

――一ノ瀬 雅

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