断る言葉を、先に用意しておく

断る言葉を、先に用意しておく コラム

誘いを断るのが、昔から少し苦手だった。

断ること自体が嫌なのではない。

その場で言葉が出てこなくて、曖昧に笑ってしまうのが良くなかった。

曖昧な返事は、結局あとで高くつく

「行けたら行くよ」と返す。

その瞬間は、波風が立たなくて楽に感じる。

けれど当日が近づくほど、行くのか行かないのかが頭の隅に居座り続ける。

気持ちが重くなる分だけ、時間も体力も静かに削られていく。

相手にとっても、人数が読めないのは地味に困る話だと思う。

曖昧さは優しさに見えて、実は双方にコストを払わせているのかもしれない。

断る言葉を、先に用意しておく

そこで僕は、断り文句をいくつか先に決めておくことにした。

即興で上手く言おうとするから、言葉に詰まるのだと気づいたからだ。

たとえば「その日は先約があって難しい。誘ってくれて嬉しい」。

理由は細かく作り込まなくていい。

長い言い訳は、むしろ相手に突っ込む余地を与えてしまう。

短く、感謝を一言添えて、すぐ返す。

この形にしてから、返信にかかる時間がかなり短くなった。

断ったあとの関係は、案外変わらない

断ったら気まずくなるのでは、と身構えていた時期がある。

でも実際は、そこまで大きく何かが変わることは少なかった。

相手も自分の都合で動いているから、こちらの事情を受け取るのも早い。

むしろ、はっきり返す人のほうが次の誘いもしやすい、という面もあるはずだ。

いつ連絡しても本音で答えてくれる人は、付き合いやすい。

そう考えると、断ることは関係を壊す行為というより、関係の精度を上げる作業に近い気がする。

空いた時間に、何を入れるか

断って生まれた時間は、本当に大事な予定のために使いたい。

読みかけの本でもいいし、ただ早く寝るだけでもいい。

時間は誰にとっても同じ量しかない。

だからこそ、何にその時間を渡すのかを自分で選ぶことには、はっきりした価値があると思う。

行きたい誘いには、気持ちよく「行く」と返す。

そのためにも、気が進まない誘いには丁寧に「今回は見送る」と返す。

この二つはセットで、片方だけでは成り立たない。

まとめ

断る言葉を先に用意しておくと、返事の負担がぐっと軽くなる。

短く、感謝を添えて、早めに返す。

それだけで、相手にも自分にも余計なコストをかけずに済む。

もし誘いへの返事で毎回消耗しているなら、一度だけ定型文を作ってみるのも悪くないと思う。

――一ノ瀬 雅

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