メッセージが届くと、すぐに返したくなる。
少し前までの僕は、まさにそういうタイプだった。
既読をつけたら、数分以内に返す。
それが相手への礼儀だと、なんとなく信じていた。
即レスが奪っていたもの
ある日、一日の通知の数を数えてみたことがある。
思っていたよりずっと多くて、少し驚いた。
そのたびに手を止めて返信していたら、集中できる時間なんてほとんど残らない。
本を読んでいても、作業をしていても、頭の片隅はいつもスマホのほうを向いていた。
僕が差し出していたのは、返信の速さというより、自分の時間そのものだった気がする。
返す時間を、先に決めておく
それからは、返信する時間帯をゆるく決めるようにした。
昼休みと、夜の少し落ち着いたころ。
急ぎの連絡は電話でくることが多いから、それ以外は少し待ってもらっても困らないと思う。
最初は、相手に冷たく思われないか気になっていた。
でも実際には、返信の速さで関係が決まるわけではないと、だんだん分かってきた。
むしろ、落ち着いて言葉を選べるぶん、中身のあるやり取りになりやすい気がする。
速さより、ちゃんと向き合うこと
すぐに返す人が優しくて、ゆっくり返す人が冷たい、というわけではない。
大事なのは、返すときにちゃんと相手に向き合えているかどうかだと思う。
通知に追われて雑な一言を返すより、少し時間を置いて丁寧に返すほうが、僕にとっては誠実に感じられる。
もし最近、スマホに一日を細切れにされている感覚があるなら。
返信の時間を少しだけ後ろにずらしてみるのも、悪くないと思う。
――一ノ瀬 雅


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