一日の最初の一時間を、人に渡さない

一日の最初の一時間を、人に渡さない コラム

朝起きて、最初に何を見るか。

僕はここに、一日の質がかなり左右されると思っている。

目が覚めてすぐスマホを開くと、通知、メッセージ、ニュース、誰かの投稿が一気に流れ込んでくる。

そのどれもが、自分以外の誰かが決めた順番で並んでいる。

つまり、起きた瞬間から一日の主導権を人に渡していることになる。

僕はそれが、少しもったいない気がしている。

最初の一時間は、頭がいちばん静かな時間

寝起きの頭は、まだ何にも汚れていない。

昨日の疲れもある程度抜けていて、誰かの感情も入り込んでいない。

考えごとをするにも、何かを決めるにも、たぶん一日でいちばん条件がいい。

その貴重な時間を、他人の近況を眺めることに使うのは、合理的とは言いにくい。

見て得するものが全くないとは言わない。

ただ、その情報は昼に見ても夜に見ても、たいして価値は変わらないことが多い。

一方で、静かな頭で考える時間は、朝にしか手に入らない。

そう考えると、どちらを先に取るべきかは、わりとはっきりしている気がする。

返信は、急がなくても関係は崩れない

朝のうちに返信しないと失礼なんじゃないか。

そう感じる人は多いと思う。

でも実際のところ、数時間返信が遅れたくらいで壊れる関係は、それほど多くない。

むしろ、慌てて打った短い返事より、落ち着いて書いた一通のほうが相手に届くこともある。

急いでいるのは相手ではなく、自分の不安のほうだったりする。

本当に急ぎの用件なら、たいてい電話か、もっと分かりやすい形で来る。

そう割り切れると、朝の時間はずいぶん軽くなる。

一時間でなくてもいい

いきなり一時間は長い、と感じるなら、十五分からでも悪くないと思う。

起きてから十五分だけは、画面を見ない。

顔を洗って、水を飲んで、窓を開けて、今日やることを一つだけ頭の中で決める。

それだけでも、一日の入り方がかなり変わる。

大事なのは長さより、「最初の時間は自分で使う」という順番のほうだ。

順番さえ守れていれば、その後にスマホを開いても、流されにくくなる。

先に自分の予定が頭に入っているから、他人の情報に一日を上書きされずに済む。

スマホを遠くに置く、という小さな工夫

意志の力だけで我慢するのは、正直あまり続かない。

だから僕は、仕組みで解決するほうが楽だと思っている。

たとえば、寝るときにスマホを枕元ではなく、少し離れた棚に置いておく。

目覚ましは別の時計に任せる。

手を伸ばせば届く距離にないだけで、朝いちばんに開く回数は自然と減る。

お金もほとんどかからないし、試してみて合わなければ戻せばいい。

損の少ない実験は、とりあえずやってみる価値があると思う。

一日の主導権は、朝に決まる

一日は、思っている以上に最初の流れを引きずる。

朝から人の都合に反応していると、その日はずっと反応する側のまま終わりやすい。

逆に、朝の一時間を自分で使えた日は、午後に多少振り回されても、どこか余裕が残る。

時間は誰にでも同じだけあるけれど、どの時間を誰に渡すかは選べる。

せめて一日の最初くらいは、自分のために取っておく。

それくらいのわがままは、許されていい気がする。

明日の朝、目が覚めたら、画面より先に窓を開けてみるのも悪くないと思う。

――一ノ瀬 雅

コメント

タイトルとURLをコピーしました