疲れている夜ほど、大事なことを決めたくなる。
仕事を辞めるかどうか、誰と距離を置くか、大きな買い物をするかどうか。
頭がぼんやりしているのに、なぜかそういう日に限って答えを出したくなる気がする。
僕はある時から、疲れている日には決断をしないと決めている。
今日はその話を少しだけ書いてみようと思う。
疲れた頭は、目の前の楽さを選びやすい
一日の終わりの頭は、朝と同じようには働いていないと思う。
小さな判断を何十回も重ねたあとで、最後に残るのは「早く終わらせたい」という気持ちだけだったりする。
その状態で何かを決めると、長い目で見て得かどうかより、今この瞬間に楽かどうかで選んでしまいやすい。
夜中に送ったメッセージを、翌朝読み返して頭を抱える。
眠い時間にカートに入れたものが、届いてみたら別にいらなかった。
そういう話はよく聞くし、多くの人にとって心当たりがあることなんじゃないかと思う。
判断そのものが間違っていたというより、判断する時間帯が悪かっただけなのかもしれない。
「決めない」も、ひとつの選択肢
決断を先送りにするのは、優柔不断に見えるかもしれない。
でも僕は、疲れている日に決めないことは、逃げではなく時間の使い方の一つだと考えている。
今日決めても明日決めても結果が変わらないなら、頭が冴えている方で決めた方がいい。
急ぎに見える話の多くは、一晩置いたくらいでは実はなくならない。
本当に今夜中に答えが必要なことは、思っているよりずっと少ない気がする。
だから僕は、夜に何か迷ったら「これは明日の朝の自分に任せる」とメモだけ残して寝ることにしている。
書き出しておけば、忘れる心配もないし、頭の中でぐるぐる考え続けることも減る。
決める時間を、先に確保しておく
決めない日をつくるなら、その代わりに決める時間も用意しておきたい。
僕の場合は、週末の午前中を「保留にしていたことを片づける時間」にしている。
コーヒーを淹れて、メモを見返して、一つずつ答えを出していく。
不思議なことに、夜にはあれほど重く感じた悩みが、朝の光の中だとあっさり片づくことも多い。
逆に、朝になっても迷うものは、本当に時間をかけて考える価値があるものなんだと思う。
その見分けがつくだけでも、保留にしておく意味は十分にある。
自分の状態を、判断材料に入れる
何かを選ぶとき、人は選択肢の中身ばかりを比べがちだ。
値段、条件、相手の反応、将来の見通し。
でも、それを判断している自分がどういう状態なのかも、同じくらい大事な材料だと僕は思っている。
寝不足なのか、空腹なのか、誰かに言われたことを引きずっているのか。
そこを一度確認するだけで、「今は決める日じゃないな」と気づけることがある。
自分のコンディションを知っておくのは、合理的に動くための前提みたいなものだと思う。
最後に
毎日をうまく回している人ほど、全部をその場で決めているわけではない気がする。
決めるべき時と、決めなくていい時を分けているだけなのかもしれない。
今夜もし何かに迷っているなら、無理に答えを出さずに、まず寝てしまうのも悪くないと思う。
明日の朝の自分は、たぶん今の自分より少しだけ賢い。
――一ノ瀬 雅


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