財布の中を、久しぶりにひっくり返してみた。
使っていないポイントカードが、七枚も出てきた。
期限切れのクーポンや、誰からもらったか思い出せない名刺もあった。
どれも、軽いから気にならなかっただけだ。
増えるものは、静かに増える
物の整理というと、大掛かりな片づけを想像しがちだ。
でも僕は、本当に溜まっているのは「小さな持ち物」のほうだと思っている。
財布のカード、スマホのアプリ、机の引き出しの充電ケーブル。
一つひとつは邪魔にならないから、置いたままになる。
ただ、持ち物が増えると、探す時間と選ぶ時間が少しずつ増える。
その積み重ねは、時間というお金より替えのきかないものを削っている気がする。
見直しの基準は「最近いつ使ったか」
基準は、できるだけ単純なほうが続くと思う。
僕が使っているのは、「この三か月で一度でも使ったか」という問いだけだ。
使ったなら残す。
使っていないなら、いったん脇に避けておく。
捨てるのは、避けた状態で一か月たっても困らなかったときでいい。
この「いったん避ける」という段階を挟むと、手放す怖さがかなり薄れる。
月に一度、十分だけ
頻度は、月に一度で足りると感じている。
時間も十分ほどにして、終わらなければ翌月に回す。
完璧に片づけようとすると、そもそも始める日が来なくなるからだ。
月末の支払いを確認するついでに、財布とスマホの画面を見直すくらいがちょうどいい。
習慣は、既にある行動にくっつけたほうが定着しやすいと思う。
減らした先にあるもの
持ち物が減ると、まず手元の動きが軽くなる。
レジ前でカードを探す数秒が消え、スマホの画面で迷う回数も減る。
数秒の話だと笑われるかもしれない。
それでも、一日に何度も繰り返す動作の数秒は、年にすると意外な量になる。
浮いた時間と気持ちの余白を、自分が本当に好きなことに回せたら、それはかなり割のいい投資だと思う。
お金をかけずにできる効率化として、持ち物の見直しはもっと評価されていいのかもしれない。
今日の小さな一歩
もし今日、数分だけ余っているなら、財布の中身を机に出してみるのも悪くない。
使っていないカードが一枚見つかれば、それだけで今日は十分な成果だ。
大きく変えなくても、軽くなった感覚は意外とすぐに伝わってくる。
身軽さは、買わなくても手に入る数少ないメリットだと僕は思っている。
――一ノ瀬 雅


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