古い約束を、更新する日を決めておく

古い約束を、更新する日を決めておく コラム

半年前に交わした「そのうち行こう」という約束が、ずっと頭の片隅に残っている。

そういう小さな約束は、誰にでもひとつやふたつあると思う。

最近の僕は、その手の約束を「更新する日」を決めて扱うようにしている。

古い約束は、静かにコストを払わせてくる

約束そのものは、軽い気持ちで交わしたものだ。

でも、果たしていない約束は、気づかないうちに頭の中の席を占めている。

ふとした瞬間に思い出して、少しだけ気が重くなる。

その「少し」が積み重なると、時間やお金と同じように、気力というものを確実に削っていく気がする。

僕は、メリットがあるかどうかで物事を考えるほうだ。

その物差しで見ると、果たされないまま放置された約束は、どちらにとってもあまり得がない。

誘った側も、誘われた側も、実はお互いに気にしていることが多いからだ。

更新する日を、先に決めておく

やり方はとても単純だ。

月に一度、カレンダーに「約束の棚卸し」という予定を入れておく。

その日に、頭に残っている約束を三つだけ書き出してみる。

書き出したら、それぞれにひとつずつ判断をつける。

ひとつめは、日程を決めて実行する。

ふたつめは、形を小さくして実行する。

たとえば食事なら、電話で近況を話すだけにしてみる。

みっつめは、正直に「今回は見送りたい」と伝えて手放す。

この三択にするだけで、宙ぶらりんだった約束が、きちんと着地先を持つようになる。

手放すことも、誠実さのひとつだと思う

見送る連絡を入れるのは、正直なところ少し勇気がいる。

断ったら関係が薄くなるのではないか、と考えてしまうからだ。

けれど、曖昧なまま何か月も返事を濁すほうが、相手の時間を静かに預かり続けることになる。

短くて穏やかな言葉で、「今は難しいけれど、声をかけてもらえて嬉しかった」と伝えるくらいでいい。

そう伝えて関係が壊れた経験は、今のところ僕にはない。

むしろ、お互いに肩の荷が下りて、次に会うときの空気が軽くなることのほうが多い気がする。

小さく果たすと、意外と満足する

もうひとつ気づいたのは、約束の大きさを変えると、実行のハードルが驚くほど下がることだ。

半日かけて遠出する予定は重いけれど、三十分のお茶なら気軽に入れられる。

その三十分が、想像以上に満足感をくれることもある。

時間も費用も小さく済むのに、気持ちの面では「果たした」という感覚がしっかり残る。

コストに対して得られるものが大きいという意味で、とても効率のいい選択だと思う。

今日の小さな試し方

もし心当たりがあるなら、今夜、頭に浮かんだ約束をひとつだけメモに書いてみるのはどうだろう。

そして、実行・縮小・見送りのどれにするかを、軽く決めてみる。

完璧に整理しなくても、ひとつ片づくだけで、頭の中の空きが少し増える。

その空いた場所には、本当に会いたい人や、やってみたいことを置いていけるはずだ。

約束を減らすことは、人付き合いを減らすことではなく、残したいものを選ぶことなのかもしれない。

僕はそんなふうに考えて、今月も棚卸しの日を楽しみにしている。

――一ノ瀬 雅

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